『HSP』とか『繊細さん』という言葉を、最近よく見たり聞いたりしますよね。
本屋に行くと『繊細さん』関連の本が何冊も平積みにされていたり、有名人がテレビ番組や自身のSNSでHSPであることを公表していたり。
私自身も昔から「自分は人より頭がおかしいのではないか」と悩んでしまうことが多々あり、原因不明のまま生きてきたのですが、最近になって「もしかすると私もHSPなのかもしれない」と感じるようになりました。
「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本(武田友紀・著)
とある方のYouTubeチャンネルでたまたま「HSP」という言葉を知ってから、何となく気になり続けていた私。
1年ほど前のある日、本屋で偶然見つけ、タイトルを見た途端なぜかピンと来て購入したのが『繊細さんの本』でした。
この本の中に『繊細さん診断テスト』というのがあるのですが、私は案の定というか、ほぼすべてに該当しました。
専門家に直接診てもらったことはないので、あくまで『可能性が高い』ということでしかありませんが、これまでの私自身を振り返ってみると確かにHSP的な気質が強い傾向にあると感じます。
HSPとは
Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略。
生まれつき人よりも感受性が強く、何事にも敏感な人、とされています。
病気ではなく、あくまで『先天的な気質』です。
本書によると、HSPとはアメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が提唱した概念で、およそ5人に1人が当てはまると言われているそうです。
著者の武田友紀さんはHSPである人たちのことを『繊細さん』
そうでない人を『非・繊細さん』と呼んでいます。
HSP診断テスト
HSPを取り扱った様々な書籍や、インターネットのホームページにも掲載されています。
『繊細さんの本』にも『繊細さん診断テスト』として掲載されており、該当する項目が多ければ多いほどHSPである可能性が高いということになります。
私は本書以外にも、インターネットのHSP診断もいくつか試してみたのですが、どこで試しても『強めのHSP』という結果が出ました。
先述の通り、あくまで『その可能性が高い』という意味です。
詳しいことは専門家に診てもらわない限りわかりません。
けれど私はその診断結果を見て腑に落ちたというか「ああ私ってそういう人間だったんだな」と、納得できました。
HSP診断テストを試してみたいという方は、以下のサイト様がおすすめです。
診断テストの他、HSPについても詳しく解説されています。
↓
「繊細さんの本」を読んで感じた、私のHSPっぽいところ
この本には、カウンセラーである著者が実際に相談を受けたHSPの人たちの話をもとに、HSP特有の気質や、その対処法について詳しく書かれています。
その中から特に「私もHSPなのかもしれないな」と感じた部分についてまとめてみました。
人といると疲れる
私は友達がいないので、主に職場(過去に勤めていた会社も含め)で感じることなのですが……
- どんなに恵まれた職場環境であっても、長時間同じ部屋(オフィス)で過ごすと気疲れする
- どんなに親切な社員さんや同僚であっても、昼休憩は1人で過ごしたい
- 仲の良い同僚相手であっても、話しているうちに謎の疲れが出てくる
単に私が超がつくほどの薄情者なだけで「だから友達いないんだよ!」なんて言われるとそれまでかもしれませんが。
本書には上記の私と似た悩みを持つ相談者の例が取り上げられています。
- どれだけ人や環境に恵まれた職場であっても、長時間同じオフィスで過ごしていると、隣の席の人のキーボードを打つ音がやたら耳につく
- 遠くから聞こえる何てことはない雑談がどうしても気になる(自分の悪口を言っているんじゃないかという謎の被害妄想が止まらなくなる)
- 偶然通り過ぎただけの社員さんがちょっとため息をついただけで「私がいたから? 私のせい?」などといらぬ心配をしてしまう
会社に行っていた頃の私は1日中ずっと、上記のような精神状態で仕事をしていました。
しなくてもいい余計な心配事や気疲れにどっぷりはまって抜け出せなくなります。
気にし過ぎなのはわかっているのですが、気にしたくなくても、どうしても気にしてしまうんです。
今の会社はコロナ禍以降テレワークになってくれたので、本当にホッとしています。
著者は、人といると疲れる理由について「HSPの神経システムがそういうふうに出来ているから」と述べています。
「HSPは心も思考も常にフル回転して、あらゆる物事を感じ取っている」
「些細な物事にも反応するように出来ている」
……だそうで、それ自体は仕方のないことみたいです。
考え過ぎて動けない&意見が言えない
昔から人より不安感が強く、母親からもよく「本当に心配性だね」なんて言われます。
「簡単にできそうな仕事だけど、もし失敗したらどうしよう」
「本当はこうしたいんだけど、皆には迷惑かな」
起こってもいない不安や最悪の事態ばかりをイメージし過ぎて結局なにもできない。
まさに『石橋を叩いて壊すタイプ』の人間です。
また、ミーティングなどで突然意見を求められるのが大の苦手で、思考がパニック状態になって何も言葉が出なくなり、「自分の意見がない人」と思われ見下されることもありました。
こうした特徴については、「HSPの人は常にベストを求め過ぎている」とされています。
行動する前に様々なシミュレーションを脳内で繰り広げるので、目の前の物事に対し自分がどうするのが一番良いのか理解できている。
結果、その『ベスト』に沿って行動しなければならないと考えるせいで、却って動けなくなってしまう。
意見が言えないのも『自分の意見がない』のではなく、『相手が求めている最良の答え』を返そうとするからなのだそうです。
確かに私も何か意見を求められるたびに、
「この人は私にどう答えて欲しいのだろうか」
「何を言うのが正解なのだろうか」
……などと、自分の意見ではなく相手や周囲の状況の中から『ベストな答え』を必死で探していたように思います。
それで結局言葉に詰まって何の返答もできない上に、相手を優先するがあまり自分の意見が何なのか、肝心なことがわからなくなってしまう。
- ベストじゃなくても良いから「とりあえず」やってみる
- 正解じゃなくても良いから自分の思ったことを言ってみる。あるいは書き出してみる
まずはこのように、少しずつ前進することが重要ということです。
他人の機嫌(感情)に振り回される
機嫌が悪い人がいると、すぐにわかります。
その人は何でもないふうを装っていたとしても、挨拶したときの声のトーンとか、立ち上がったときの椅子の音とか、やたら深いため息をついているな、とか。
機嫌が悪い人(もしくは悪そうに見える人)を察知すると、直接関係はなくてもハラハラしてしまいます。
機嫌が悪い人が同じチームの人であれば「私が何かしたかな?」と、いらぬ心配までして自分が重大なミスをしていないかアレコレ思考を巡らせてしまうこともあります。
これもHSPであれば仕方のないことで、常に感覚をフル稼働させているが故に、人の感情に気づかないでいることは不可能なのだそうです。
大事なのは気づかないふりをするのではなく、気づいたときに上手に対処する方法を身につけることだと、著者は述べています。
人嫌いなのではなく、むしろ「人が好き」
多くのHSPの人たちは、人嫌いどころかむしろ「人が好き」なのだそうです。
私もてっきり「自分は人間嫌いなんだ」と思い込んでいました。
しかし、よくよく考えてみると、楽しそうにお喋りしているグループを見れば「いいな、混ざりたいな」と思っていたし、会話が極端に苦手ではあるものの決して人見知りではありません。
仲良くしたい、という思いは常にあります。
けれどHSPの神経システム上、敏感すぎて疲れてしまう。
自分の特性を理解して、上手に1人の時間を作りながらリフレッシュするのが良い方法だということです。
ああやっぱり私は高い給料よりも「自分の時間」を大事にすべきなんだなと、改めて思いました(笑)
HSPは病気ではなく、生まれ持った気質
HSPは病気ではないので、治療でどうにかなることはありません。
考え過ぎるのも気疲れするのも『そういうふうに神経が作られているから』であり、『自分はそういう人間なんだ』と受け入れるしかないです。
著者は「繊細さん(HSP)は繊細さんのままで、むしろそれを長所として生かせばいい」と書いています。
私にもたくさん身に覚えがあるのですが、「こんな自分ではダメだ」と思い込んで、自分じゃない自分になろうとして却って失敗したことが多くあります。
HSPは人より感覚が鋭い分、些細な物事にも深い幸せを感じることができます。
今日は天気が良い、夕日がきれい、道端できれいな花が咲いていた……など。
これが好きだと思う自分の感覚を、まずは大事にしようと思いました。
「HSPっぽい自分」もしくは「HSPかもしれない人」を理解できる1冊
『繊細さんの本』は非HSPの人がHSPを理解する本としても最適だと思います。
HSPの人が自分自身の特性を理解するのはもちろん、HSPじゃない人もこの本を読めば、HSPがどういうものなのか簡単に理解できる内容になっています。
私は決して『HSPかもしれない』ということに甘えるつもりはないし、HSPの人たちも決して甘えているわけではありません。
HSPは『生まれ持った気質や特徴』です。
ただ、「世の中にはこういう人もいるんだな」というふうに、知ってほしいとは思います。
HSPな人も、そうでない人も、『繊細さん』がどういう人なのか知りたい方は、ぜひ読んでみてください。