先日、通院のため立川に行った際に立ち寄った本屋で、とても素敵な本と出会いました。
その本のタイトルは、
『大きなパンダと小さなドラゴン』
お店の1番目立つ所に平積みされており、タイトルと表紙のイラストを見て一目惚れ。
パンダとドラゴン(龍)、どちらも大好きな私にとってはたまらん1冊!
最初の2~3ページほど立ち読みしただけで即購入を決意し、近くの喫茶店に駆け込んで読み耽っておりました(笑)
本当に素敵な物語なので、ご紹介しようと思います。
読書感想『大きなパンダと小さなドラゴン』
『大きなパンダと小さなドラゴン』
- ジェームズ・ノーブリー[著]
- せきねみつひろ[訳]
- サンマーク出版
タイトルの通り、大きなパンダと小さなドラゴンという超異色コンビが一緒に旅をするお話。
パンダとドラゴンの会話とイラストがメインの絵本ですが、どちらかというと大人の方がより深く楽しめる内容になっています。
著者のジェームズ・ノーブリー氏は仏教の教えや哲学をヒントに、この物語を執筆したそうです。
可愛いイラストにほっこりしつつも、2人(2匹?)が会話の中で繰り出す人生哲学に思わずドキッとさせられたり、自分の生活に当てはめて「ああ、確かにそうだなあ」と納得したり、時には励まされたりもします。
仕事や日常生活で悩みがちな人ほど、この本の内容は心に響くと思います。
連休明け早々無職に逆戻りしてしまった私の心も、ほっこり癒しをいただきました(笑)
出会いを怖れず、勇気を出して
勇気をだそう。
この出会いが なにかのきっかけに
なるかもしれないから。
引用元:大きなパンダと小さなドラゴン(ジェームズ・ノーブリー【著】せきねみつひろ【訳】 サンマーク出版)
パンダとドラゴン。
異種族にも程があるくらい違いすぎる両者が『勇気を出して』互いを受け入れ、共に四季を巡る旅に出るところから物語がスタートします。
たった1ページの中に描かれているこのシーン、よく考えると凄いことではないでしょうか。
『違いを怖れず受け入れる』というのは、想像よりも遥かに難しいことだと思います。
人類史を振り返ってみても、『違う』という理由ひとつでいったいどれほどの差別や偏見、争いが生まれてきたことか。
物語の中のドラゴンはとにかく小さく、しかも小枝のように細い。
そんなドラゴンからすればパンダは巨大すぎる生き物で、うっかりすれば踏み潰される危険性もあるし、最悪の場合、食べられてしまうかもしれない。
出会った瞬間はお互いがどういう存在なのか分からない状態だから、そういう『もしもの危険性』が真っ先に浮かんで警戒するはずです。
一方のパンダにしても、ドラゴンは小さくて枝切れのように細くヒョロヒョロした、正体不明の謎の生物。
もし蛇の仲間だとしたら毒を持っているかもしれないし、パンダにとっても初対面時のドラゴンは警戒すべき相手のはずです。
けれど、両者は互いに『勇気』を出した。
警戒心もあっただろうけど、それ以上にこの奇妙な出会いの奇跡を信じ、行動を共にすることにした。
それにより、この異色コンビの絆は深まっていきます。
昔から新しい人との出会いや環境の変化にビビりまくる性分の私は、この出会いのシーンから既に感動の極致。
幼少期から今に至るまで、勇気が足りなすぎるせいで、いったいどれほどのチャンスや『きっかけ』を逃して来たことか。
様々な出会いを怖れずにいれば、今よりもっと違う状況を生きていたのかもしれません。
のんびりパンダと、ちょっぴり悩みがちなドラゴン
基本的にパンダはのんびり屋で、ドラゴンの方が落ち込みやすいというか、何事も深く考え込んでしまいがち。
私の性格的にパンダよりもドラゴンの方に感情移入しやすく、だからこそ、悩むドラゴンに対するパンダの言葉一つひとつがいちいち心に突き刺さりました(笑)
けど、時にはパンダの方が思い悩むこともあり、そういう時はドラゴンがパンダを励ましたり、お茶を淹れてあげたりする。
超異色コンビのやり取りは至って素朴で些細なものだけれど、実はそれがとても重要なことであり、私たちが人間関係を築く上で最も大切なことのように感じます。
それも碌に出来なかったから、私は仕事でも人間関係でも、しくじってばかりいるのだけれど。
お茶でも飲みながら
お茶をのむときは……
あれこれかんがえずに ただ お茶をのもう。
引用元:同上
『お茶』も、この物語の重要なアイテム。
パンダとドラゴンがお茶を飲みながら、のんびりくつろぐシーンがよく出て来ます。
この物語における『お茶』は『今を楽しむこと』を意味しているように感じました。
『人生は今しかない』とはよく聞く言葉ですが、仏教にも『今を生きることが重要』という教えがあるそうです。
本当の人生は過去でも未来でもなく『今』しかない。
人生は『今この瞬間』の連続でしかない。
※仏教に詳しくないため、違っていたらごめんなさい↑
私自身も頻繁に、というか常に過去の自分を嘆いたり、将来を不安に感じたりしています。
将来どころか、下手すると30分後とか1時間後のことで思考がグルグルしてたりします(笑)
「あれやらなきゃ」
「あれをやったら、これをやらなきゃ」
「これが済んだら●時までにそれを片付けよう」
……みたいに。
多動性障害でもあるのかというくらい、常に心がソワソワして落ち着くことがありません。
全然『今』を生きてないですね、私……。
理由も分からず生き急いでしまいがちな私にとって、
「お茶でも飲みながら」
というパンダとドラゴンの穏やかなティータイムは心に染みるとともに、ひどく羨ましく感じました。
私的、癒しが欲しい時のオススメの読み方
購入後、まずは普通に最初から最後まで読了します。
その後、何となく心が疲れた時、癒しが欲しい時などに、とりあえずこの本を手に取って適当なページを開き、そこに書かれたパンダとドラゴンの言葉に目を通します。
適当に選んで偶然開いただけのページですが、その内容が案外その時の自分の心に刺さったり、必要な言葉だったりします。
あくまで私自身の自己流な読み方ですが、結構オススメです。
ちなみに本日(5月15日現在)、私が何となく開いてみたページは以下の通り。
「嫌われたらどうしよう」と不安を抱くドラゴンに対する、パンダの答え↓
「それでも じぶんの道を 歩きつづけたほうがいい」
大きなパンダがいった。
「じぶんを見失うより その人たちを失うほうが
まだましだから」
引用元:同上
周囲の顔色ばかり窺い続けた結果、すっかり自分を見失った私自身を見透かされたように感じました……。
大人の心にこそ、深く刺さる絵本です
『大きなパンダと小さなドラゴン』
- ジェームズ・ノーブリー[著]
- せきねみつひろ[訳]
- サンマーク出版
パンダとドラゴンという異色コンビが織り成す旅物語。
可愛らしさに癒されながらも、2人(2匹?)のやり取りには、私たちがドキッとするような重要なメッセージが含まれています。
その内容は子供はもちろん、社会で生きる大人の心にこそ、より深く響くはずです。
ぜひ、読んでみてください。