少子高齢化が叫ばれて久しい日本。
それに関連してか、ここ数日、ニュースサイトなどでやけに目につくのが、
『20代の独身男性の約4割が異性とのデート未経験』
……という情報。
個人的にはこういった話題を目にしても「だから何よ?」という感じですが。
日本の全男性の内、年齢20代、更に『独身』に的を絞った中でのたった4割って、もはや多いのか少ないのかよくわからん。
内閣府が実施した調査らしいけど、日本中全ての20代独身男性から回答を得られたわけじゃないと思うし。
あ、ちなみに『若者の恋愛離れ』って、今に始まったことではないみたいですよ?
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すべては政府の無策ゆえ……。
しかし、今は何かと槍玉に挙げられる『ぼっち』諸君に朗報(?)です!
なんと2040年頃の日本は、独身者が人口の半分を占める『独身大国』になっているそうです!
「一人で生きる」が当たり前になる社会(著者:荒川和久&中野信子)
脳科学者の中野信子さんと、独身研究家の荒川和久さんが『ソロ化』して行く日本を徹底考察した1冊。
お二人の対談形式となっており、わかりやすい言葉で解説されているのでスラスラ読むことができました。
実際のデータに基づいたやり取りは、テレビ番組が流す情報だけでは得られない興味深い内容ばかりです。
日本よりも辛い? 欧米社会の同調圧力
図25は日米中韓の高校生の国際比較調査ですが、「友だちに合わせていないと心配になる」の比率が、東アジア3か国はみんな3割ぐらいなのに、アメリカ人だけ高くて、男子5割、女子は6割を超えています。
(中略)ホームパーティーもそうですけど、結局はネットワーキングの社会ですよね。そもそも、人とつながれないと落伍者になる国ともいえます。
引用元:「一人で生きる」が当たり前になる社会(著者:荒川和久、中野信子 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン)
個人的に面白いと感じた内容のひとつ。
1人でいることを許さない度合いは、日本よりも実は欧米社会の方が強いのだとか。
確かに、女性が1人で夜道を歩けたり、1人でレストランで食事できるところを日本のメリットと感じている欧米人は多いようです。
こういう意見を見ると、『欧米人は個人主義。日本人は全体主義』という話に違和感しか抱けなかった私は、「やっぱりねー」と納得。
海外の作家が執筆した自己啓発系の本を読んでも、私たち日本人が共感できる欧米社会の問題って結構あります。
労働環境では欧米よりも問題が多いのかもしれないけど、本書曰く、江戸時代の頃から『おひとりさま』が当たり前の文化だったということから、暮らしやすいのは圧倒的に日本だなと感じました。
2040年の日本は『独身大国』になる?
2040年頃には日本の人口のうち、約47%が独身になるそうです。
人口のほぼ半分ですね。
独身とは言っても、離婚した人や、結婚した後パートナーと死別した人なども含んだデータのようですが。
つまり、この先の日本に訪れるのは『少子高齢化社会』というより『少子独身化社会』?
高齢者の数よりも独身者の数の方が多い時代に、既に足を踏み入れているそうです。
もちろん、これはこれで政府は大問題として扱うでしょうが、個人的には「当然の事態」のような気がします。
かつての時代とは違い、今は1人でも安心して暮らして行ける社会です。
特に日本の治安の良さが世界トップクラスなのは有名な話。
女性でも、1人で生きようと思えば全然生きて行けるんですよ。
これだけ国が整えられているのに、結婚を絶対視している人の意見には正直、疑問しか湧きません。
結婚しても孤独死するんですよ?
孤独死しているのは、ほぼ元既婚者なんですよ。高齢で孤独死している75歳以上の人たちを例に出すと、いま75歳以上の人たちは日本が皆婚時代といわれていて、ほぼ100%結婚していた時代の人たちなんです。
(中略)結婚は義務ではないんですから、孤独死を恐れて無理に結婚しなくていい、と言いたいですね。
引用元:「一人で生きる」が当たり前になる社会(著者:荒川和久、中野信子 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン)
恋愛や結婚にも向き・不向きがある
人付き合いの得意・不得意というのは、『先天的な要素』と『後天的な要素』の両方が含まれているそうです。
どのような環境で他者と関わってきたかは人それぞれであり、他者と接することをどう感じるかも人それぞれ。
つまり、皆が皆、結婚や恋愛に向いているわけではないということ。
皆婚時代と言われていた頃は個人の向き・不向きを問わず、結婚することが当然だったのでしょう。
しかし、それによる家庭内の悲劇もたくさんあったのではないかと思います。
ところが現代になり、自由な恋愛や結婚が推奨されるにつれて、『向かない人』も一定数いるという事実が明るみになってきたのではないか。
恋愛離れを『若者だけの問題』として扱っているうちは、少子化の根本的な解決は不可能だと思います。
私が『一人で生きる』を選んだ理由
私の場合ですが、理由は単純に『気楽だから』
この本で言うところの『ガチソロ』に属する人間です。
過去記事にも書きましたが、私には『自分1人で過ごす時間』が絶対必要なんです。
たくさん働いて大金を稼ぐことよりも、自分の時間を得ることの方が遥かに大切です。
なので正社員にもなりません。
血の繋がりのない赤の他人と同じ家で暮らすなんて、想像するだけで息苦しさを感じます。
何かと考えすぎの私はきっと、気疲れしすぎて心を病むと思う。
私自身も明らかに、恋愛や結婚には『向かない人』です。
そうなったきっかけのひとつに、機能不全家庭で育った、というのがあります。
『1歳半までの養育者との関係が、その後の人生での人間関係を左右する』と中野信子さんも仰っていますが、確かに私自身も10代の早いうちから恋愛や結婚、異性に対して不信感を抱くようになっていました。
もちろん、全部が家庭環境のせいということではないです。
あくまで、きっかけのひとつ、というだけ。
学校や職場での人間関係や、私自身の気質など、総合的に考えた上で『一人で生きる』を選択しました。
40歳を目前に控えた今、私のその判断は間違っていなかったと、はっきり断言できます。
むしろ、この歳になっても『ぼっちな暮らし』を楽しめている自分を、「誰よりも恵まれている」とすら感じています。
多様化を謳うなら、『独身大国』という現実も認めた方が良い
個人的に、日本の出生率がかつての水準に戻ることは絶対にないと思ってます。
少子化というのは日本だけでなく、ほとんどの先進国が抱えている共通の問題です。
人口14億人の中国でも、少子化が加速しているのだとか。
国が豊かになれば、それまでの結婚や家庭、性に対する価値観が変化するのは当然の流れです。
それでも「結婚したい」と願う人が一定数いるのなら、出生率を上げるよりも、その『一定数』を守る政策を考えた方が良い気がします。
本書を読んで感じたのは、『独身大国』は決して悪い面ばかりではないということ。
少子化問題は、『産めよ増やせよばかりが国の豊かさではない』ということを示している気がします。
多様化という言葉をよく耳にしますが、これから恋愛や結婚観を含め、働き方やお金についてなど、社会のあらゆる価値観が引っくり返って行くのだと思います。
結婚しようと、1人で生きようと、それぞれの生き方を認め合い尊重し合えるように、私たち1人ひとりが意識して行動することが、これからの日本で幸せになるための秘訣なのではないかと感じました。