稲垣えみ子さん著『魂の退社』を読了しました。
実は数年前に紙の書籍で購入し、読了済みだったのですが……
同じく稲垣さんの『寂しい生活』という本の感想記事を書いた際、『魂の退社』をもう一度読み直したくなり、楽天koboで再購入。
自由な生き方を羨ましく思いつつ、
「私は今までの職場に、はたしてどれだけのことをして来れたのだろう?」
……と、自分自身のこれまでを反省してしまいました。
会社や職場に『感謝』できますか?
50代で無職になろうと、結婚していなかろうと。
著者の稲垣さんは自分の将来や、日本という国に対しても希望でいっぱいだと、はっきり断言しています。
会社に属していなければ部屋を借りるのも一苦労な『会社社会』日本の現実を思い知ったり。
経済成長がすっかり行き詰り、会社どころか人までが「ブラック化」している実情を目の当たりにしたり。
そういった日本の実態に目を向け、その中で希望を失わずに自分が出来ることを発見できたのは何よりも、自身がかつて『会社員』であったおかげだということです。
辞めたことで、今まで会社からどれだけ恩恵を受けていたかが分かった。
そして改めて、『会社からの依存度』を下げることが如何に重要かを実感した。
あらゆる経験を積んできた上で、稲垣さんはこう仰っています。
「会社よありがとう!」
自分は今まで、本当にベストを尽くして来たのだろうか
会社を辞めることは、それ自体いいも悪いもありません。(中略)その決断に自分が納得できるかどうかが大事なのだと思います。
そのためには、それが戦いであれ恩返しであれ何であれ、「やることはやったのだ」という気持ちになれるかどうかがすべてではないでしょうか。
引用元:『魂の退社』稲垣えみ子・著(東洋経済新報社)
私には正社員歴がないので、本当の意味で「会社員」として勤めたことはありません。
しかし「与えられた仕事にベストを尽くす」というのは雇用形態を問わず、働く上で当然のことだろうと思います。
ふとここで、自分自身のこれまでを振り返ってみると……
20代の頃からアラフォーの現在まで、私が転々としてきたすべての職場の内、「やることはやったのだ」と納得できる気持ちで辞められた職場はどれほどあるだろう?
「ベストを尽くした」と言えるほどの働きぶりを発揮できたことなど、はたしてあっただろうか?
どれだけ記憶を辿ってみても、残念ながら答えは「否」
どの職場も基本的に、逃げるように辞めていた。
一向に馴染めない人間関係から。
陰険なお局から。
息苦しい会社という空間そのものから。
辞める理由を自分の「外側」に押し付けて、一刻も早くそれらから逃げなければならないのだと、自分の弱さと甘さを正当化しているだけだった。
それでも辞めるたびに慌てて仕事を探した理由は「お金を稼がないとすべてに見捨てられる」と思っていたから。
自分のためでもなければ、会社のためでもない。
そんなだから、何に対しても感謝なんて出来なかった。
あの頃の私も立派な『ブラック社会』の人間で、それは今でも続いている。
「誰かを喜ばせるために働く」ということ
仕事とは、突き詰めて言えば、会社に入ることでも、お金をもらうことでもないと思うのです。他人を喜ばせたり、助けたりすること。つまり人のために何かをすること。それは遊びとは違います。人に喜んでもらうためには絶対に真剣にならなきゃいけない。だから仕事は面白いんです。
引用元:同上
私、まさに「お金をもらう」ことしか考えていませんでした。
仕事は嫌でもやらなければならないことであり、決して好きではないから常に歯を食い縛って、不機嫌そうな表情を浮かべて。
誰かを喜ばせたり助けたりするために率先して行動することもなかったし、そんなこと思いつきもしなかった。
もしかしたら会社というのは、そこを一番に試される場所なのかもしれません。
いろんな人間が同じ場所に集まって、ひとつの目標のために仕事をするのだから、当然いろんなドラマが巻き起こったりもする。
そんな中で、自分には何ができるのか?
誰の力になることができるのか?
気の合わない人がいたとしても、その関係をいかに変えて行くべきか?
そこを学んで乗り越えて行くことで、仕事にやりがいを見出すことができる。
一緒に働いたメンバーや会社に対しても「ありがとう」と、心から感謝できるのだと思います。
きっとそれが、私がこれまでの職場で一番に学ぶべきことだったのだろうなと、今さら痛感した次第です。
私自身の『魂の退社』はきっと、まだ少し先のこと
私自身、稲垣さんの本を読み、これからの生き方や働き方をどうするべきなのかが見えてきたような気がします。
まだまだ『依存』から抜け出せていないのが現状ですが、ひとまずは「今この仕事をすることで派遣先の上長を少しでも楽にしてやるのだ」ということを意識しようと思います。
せめて今の派遣先では、「やりきった!」という気持ちでいつか退職できるように。